ウィリーが、ずっといてくれるから
ボクが40数年前から敬愛する歌手『ウィリー・ネルソン』は、現在86歳になる。
80代になっても、毎年のように素晴らしい新作を届けてくれ続け、感謝している。
彼には、『駄作』などは存在しない。『ウィリー』であるだけで、素敵なのだから。
1961年デビュー以来、少しもブレなく、常に第一線で後世に影響を与え続ける。
彼の懐の深さに敬意を持ち、息子や孫世代のミュージシャン達に共演を熱望される。
彼の『愛』が大きく、いつでも音楽において冒険や挑戦を楽しんでいるからだろう。
ボクの出逢いは、ジャズ作品を取り上げた1977年の名作『スターダスト』から。
その艶のある声と奥行きある歌唱に魅せられ、彼からの影響は生き方も含め大きい。
ヒップポップの席巻で音楽業界が偏り、不遇な時代に作品が出せなかったリもした。
ボランティアなど含め、ライブ活動を地道に続け、現在のレーベルに安泰している。
その70代後半からの作品はどれも素晴らしい。安価な輸入盤で多数所有している。
どの時代の作品も少しも色褪せない。時代に迎合しない故に古く感じない普遍性だ。
一般的に『カントリー歌手』とされるが、『ウィリー・ネルソン』は、唯一無二だ。
ジャズやロックなど、老練だろうが若かろうが、有能なミュージシャンと融和する。
彼の周りで自ずと『音楽』が生まれる。歌も音も枯れたりしない。新鮮かつ芳醇だ。
彼の長年の愛器『トリガー』というギターに歴史が刻まれている。年月の積み重ね。
音楽や人を愛するが如く、ボディーに穴の空いた歴史に、彼の魅力が詰まっている。
チェロキーの血を引く彼がインディアン風三つ編みをしいているのも、一貫した愛。
日常に疲れた時、いつでも部屋に『ウィリーがいてくれた』お陰でボクは癒された。
何もかも嫌になっても、彼の歌声にどれだけ救われてきただろうと感謝でいっぱい。
音楽は『音を楽しむ』のが最初であり、心を柔らかくしてくれるさりげない贈り物。
今年2019年の新作のアルバム。この『カッコ良さ』は俄かでは出せないものだ。
58年前の、28歳という遅いデビューの、自作の『クレイジー』も秀逸な名曲だ。
半世紀以上現役であり、声の艶の褪せない人を他に知らない。そこに深みが重なる。
自分の息子たちとこうして向かい合って歌えるのも自然で、照れとか一切ないのだ。
人望とか、信頼とか、そういう類は眉唾ものだ。嘘偽りなく、一緒に楽しめるかだ。