望まない形で夢を叶える、という甘さ

2016.06.20 Monday 15:33
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    ボクは愚かにも、10代の頃にミュージシャンになる夢を抱いたりしていた。

    今から思えば、無謀で、無知で、己を知らない愚か者だったと言うしかない。

    だが、自分の中での『音楽愛』は半端なものではなかったからやむを得ない。

     

    自分の能力を過信するか、疑心するか。そこで、道筋が変わってく気がする。

    ボクは、あらゆる才能ある音楽家を観てきて、自分の限界を思い知らされた。

    それは、努力では補えないものもあり、何より病気を抱えてしまったのだし。

     

     

    そこで、ボクは生涯に一度くらいは、ライブ・ステージに立ちたいと思った。

    もう40歳も過ぎ、ウツで何十年も苦しんで、最後のチャンスを狙っていた。

    昔の音楽仲間に声を掛け、バンドを組み、ライブハウスに立つことを企てた。

     

    思うようにメンバーは集まらなかったけれど、最終的に最低限である3人組。

    いわゆる、スリーピース。『ギター、ベース、ドラム』でことを始めたのだ。

    皆、何十年も音楽から離れていたので、毎週のようにスタジオ練習を重ねた。

     

     

    しかし、どんなことをやるにしても、人間関係は厄介な方向に傾れ込むのだ。

    あるメンバーの『エゴ?』により、提案も遮られ、計画的に事は進められた。

    結局は、自分の求めていたものとまったく違う形で、コピーバンドになった。

     

    それは、ただ『ロック』という、『内面から湧き出る表現』とは掛け離れる。

    ギター弾きとしては、自分のお気に入りのギターを鳴らすことも許されない。

    完全コピーという、ギター弾きには屈辱でもあることを余儀なくされたのだ。

     

     

    納得行かないままに、納得出来ない音楽を、精一杯、演奏することに徹した。

    奇しくも、ライブ数週間前に予期せず、ボクは会社のリストラに遭うことに。

    その一週間後には、真剣に愛していた女性に振られ心身共にボロボロだった。

     

    それでも、ライブ会場は押さえていたのでそこでヤメる訳にはいかなかった。

    しかも、ウツも悪化し、数日前に風邪をこじらせ、当日は39度近くあった。

    前日までフラフラで声も出ないまま、ボクは望まない『初ライブ』に挑んだ。

     

     

    ライブ会場を押さえるために自腹を切ってまで、望まないライブを敢行した。

    それは、自ら言い出したことへの責任だけだった。喜びも満足も皆無だった。

    音楽をこよなく愛し、ライブ・ステージに立つことを夢観た半世紀の集大成。

     

    それを、自分の体調も精神状態も、ライブそのものも、望まない形で終えた。

    当日は重たい荷物を持ち電車移動をし、本番には指がツリまったく動かない。

    それでも指が動かないなら腕ごとを動かせばいい、と出来る限りを尽くした。

     

     

    その後の、打ち上げなどは語るに及ばない。笑えない程に惨めな終焉である。

    ベーシストにはベースを貸し、あらゆる機材を提供し、金銭的窮地にも陥る。

    詳細は語りたくもないくらいに苦い想い出である。病気、侮辱、エゴ、等々。

     

    ただ、あらゆる人の醜い部分を突きつけられた経験をさせてもらったようだ。

    こよなく愛する音楽を通じて、ボクは色んなことを学ばせてもらったと思う。

    10年以上過ぎ、今は漸く客観的にその時のライブ映像を観ることが出来る。

     

     

    ボク自身は、その状況での精一杯のパフォーマンスをしたが、納得してない。

    日頃の1/10も思うような演奏が出来なかった。悔しいし、情けないこと。

    でも、その時、そのタイミングで、ボクがライブを敢行したことに違いない。

     

    不満ばかりが残った。承服し兼ねる暴言に、後日にはメンバーを罵倒もした。

    自分でもウンザリするくらいの醜い言葉を発した。後味の悪い記憶しかない。

    ただ、時を経て、自分一人では成し得なかった夢を抱いた自分もガキだった。

     

     

    喘息の発作が続き、前日まで声も出なかったが、精神力だけで声が出るもの。

    約1時間。全13曲。フラフラで立っているのがやっとの状態で完走をした。

    悪いことが重なっても、人は愛するものには想像以上の力が出るものなのだ。

     

     

    中盤になって、ほぼトランス状態のようになり、やっと指が動き出してきた。

     

     

     

    ソロ・ヴォーカルに喉が持ち堪えるか一か八かの中、全身全霊で唄い切った。

     

     

     

    画像も音質も劣悪なライブだが、今は音信不通のメンバーに感謝するのみだ。

     

     

     

     

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